妊娠初期の妊婦さんの悩みと言えば個人差はありますがやはり“つわり”ですよね。どうにもならない気持ち悪さ。酸っぱい物なんか食べたって治りゃしない。そんなつらい初期を何とか通過し安定期に入った妊婦さんルンルンの
マタニティ生活を送りついにはクライマックス妊娠後期に突入します。
妊娠後期にはその時特有の色々な苦痛や不安がまた押し寄せてくる場合があります。その原因に間違いなく入るのが大きくなった妊婦さん自身のお腹でしょう。
お腹が重たいのを理由に歩くことや重いものを持つことはやらなくても済む場合もあるでしょう。
でも、寝ることはお腹が重たかろが“must”やらなきゃならないデイリーな事ですよね。
仰向けに寝ていると胎児や羊水の入った子宮の重みで押しつぶされているような圧迫感がつらい、うつ伏せは赤ちゃんがつぶれちゃうと怖いから絶対出来ない。残された選択肢は横向き寝です。
横向きで寝ていると苦痛は和らいだけど一体赤ちゃんは大丈夫なのか?ふっと不安になりませんか?
どちらかの向きなら大丈夫とかあるのかな?
とかいう疑問もありますよね。
結論から言うと右を上に横向きで寝て下さい。その理由などを説明したいと思います。まずは妊娠後期の子宮の重さについて見ておきましょう。
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妊娠後期の子宮の重さ
妊婦さんの子宮の中身は大きく分けて3つ、胎児と胎盤と羊水です。
妊娠後期に入る8か月位になると、胎児の重さは1000gを超えて来ます。誕生の日に向けて最低限の人らしい機能は完成し骨や筋肉や脳も基礎は出来てそれらがラストスパートでボリュームを増して行きます。
出産の日まで一週間だと150g~200gくらいずつ増えて行き最終的には平均で3000g前後になるわけです。
胎盤は安定期に入る4か月位に基礎が完成して、妊娠後期には500g以上になります。羊水も妊娠中期から増加速度が速まって一週間に60mlずつ増え後期には500ml以上になります。
こんな感じにどんどん子宮は重量を増して行きます。2リットルペットボトル2本以上をお腹にしまい込んでいると思ってください。これを抱えて寝るわけですから抱えずに寝る時と比べて苦痛があることはすぐに理解できますね。
そして先ほど苦痛を避けるために、横向き寝でしょという話をしました。これも、ペットボトル2本を抱えて寝る様子を想像すると「なるぼどね!」と思いませんか。
ところが、苦痛は避けられるものの、赤ちゃんが大丈夫なのかなって話でしたね。「押しつぶされるんじゃないか?」っていう不安でしたね。この答えは「大丈夫です」。その理由を見てみます。
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胎児は子宮の中で押しつぶされない
たとえ、妊婦さんがうつぶせで寝たとしても赤ちゃんが押しつぶされる心配はありません。その理由が先ほど触れた羊水です。
赤ちゃんは子宮という水風船の中に浮いているような状態で存在しています。羊水の中で泳いでいる感じです。
自分の体重が重かったすると、うつ伏せに寝てその水風船が潰れるんじゃないかと心配になるかもしれませんがご安心下さい。
子宮は私たちが知っている水風船以上に形を変えることが出来ます。横にギューと広がったりして風船みたいにパンと破裂なんてことは絶対にありませんのでご安心ください。
「じゃあ、仰向けは自分が苦しいけど別にいいんだな」と勝手に話を進めないでくださいね。違うんです、仰向け寝はお母さんにとっても赤ちゃんにとっても問題があります。右を下にして横向きに寝るのも同じ理由で妊娠後期にしない方がいい寝方です。
右を上にして横向きに寝て下さい。その理由を説明します。
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妊娠後期は右を上にして横向きに寝る理由
仰向けや右を下にして横向きに寝ることによって何が問題かと言うと、子宮近くの背骨の右側にある下大静脈という太い大事な血管が2リットルペットボトル2本分の重みで押しつぶされてしまうからです。
大動脈も左側に下大静脈と平行して存在しているのですが、こっちは動脈であるがゆえに血流が半端ないので押しつぶされる心配はありません。下大静脈の方は血の流れが弱い静脈の血管なんで潰されてしまいます。
胎児は子宮風船で守られていますが、血管は妊婦さんの寝る向きによってもろに子宮の重圧がかかってきて血の流れの弱い静脈はペッタンとなってしまうのです。
潰れる静脈は妊婦さんの心臓に血液が戻る通路なので、妊婦さんの心臓に血液がうまく戻らなくなってしまうことになります。そうなると、妊婦さんは低血圧や酸素不足になってしまい結果的に赤ちゃんも酸欠や栄養不足になってしまうのです。
弱い下大静脈は右側にあり、ビュンビュン血液が心臓から出てくる通路の丈夫な大動脈は左側にあります。なので、弱い下大静脈を子宮の重圧から守るために上側にしてあげて欲しいのです。
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まとめ
理由が分かると気を付けて寝ることができますよね。妊娠後期はとにかく右が上の横向きで寝ることを推奨します。右手が自由に使えるって覚えてもいいかもしれないですね。
うつ伏せは安全って言ってもペットボトルを抱えて寝ると考えると邪魔でしんどいですよね。だから、“右が上の横向き”これですね。仰臥位低血圧症候群という具体的なリスクを避けるためにも心掛けた方がいいです。